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トキと出会い、一目惚れをし、毎日トキの姿を眺めていた。
言いたかった。
自分の気持ちを……。
しかし、トキがどれだけの生徒に人気だったか。
自分は平凡な人間だ。
トキという有能な人が振り替えるのか。
不安になり、口を閉ざした。
いつの頃からかは覚えていない。
同級生にトキへの気持ちが知られ、いじめられた。
男が男を好きになるなんて気持ち悪い。
勇気もなく言い返すこともできなかった。
同級生は言う。
闇みたいな髪を持ち、戦う意思もお前は影だ。
蔑んだ目でカラスを影と呼んだ。
──その時から僕は影なんだと理解した。
だから、トキという偉大な人に話しかけてはいけない。
そう言われ殴られた。
いつのまにか、いつも日影にいるようになった。
髪も表情が見えないように長く伸ばした。
でも、トキを忘れることはできずいつも格技場に足を運んだ。
そのたびに中等部の子からいじられ、高等部の先輩にバトンタッチされる。
でも、あなたの姿を見るとそんなこと忘れられた。
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