髪飾りを貴方に……

27/28
前へ
/173ページ
次へ
 もう自由だ。 自由にトキと一緒にいられる。  「トキさん」  「うん?」  「僕もあなたが好き、もう絶対に離したくない」  「カラス……」  「……はい」  名前を呼ばれ、顔を向けるとトキの額と自分の額が重なりあう。 伝わる温もりは体を火照らせた。  そのまま滑り落ちてきたトキの唇はカラスのそれを結びつければ、感じる熱と柔らかい感触に涙が止まらない。  「カラス?」  「幸せです、トキさん」  今はそれだけで十分。 愛する人の名前が呼べることだけで。 .
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加