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「トキさん……これ」
カラスは掌に握っていたものを差し出した。
べっこうでできた髪留め。
祖母に貰った大切なもの。
無くしていたものに間違いない。
「カラス、どこでこれを?」
「昨日ここへ来たときに見つけて、トキさんが来る前に先輩に見つかって……それで昨日はボロボロに」
「危険な目にあったのに」
再びトキはカラシを抱き締めた。
「だって」
「ん?」
「だって……恋人の大切なモノは僕にとっても大切だから」
ニッコリと笑みを見せられればトキは理性を失いそうだ。
その後、カラスはトキによって姿も表情も明るくなったらしい。
それはまたのちほどということで。
end
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