儚き音色。

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 その日、奴に布団を与えて床に寝さした。……。  爽やかな朝が今日もやってきた。 「うわぁぁぁ!!」  その日の朝、民家に叫び声が聞こえた。ベッドに奴が入ってきていたのは、忘れよう(理性的な意味で)  ざわつく教室。男女の比率は、多分、半々ぐらい。前と後ろにある黒板には、転校生が来るとでかでかと白いチョークによって書かれている。  アイツとは、昇降口までは、一緒だったのだが途中で職員室に行くと言ったので別れた。  うん。見たことないなぁー……と思ってたよ。むしろ、こんなこと現実にあるんだな。 俺達の前には、眼鏡をかけた地味な、担任(おっさん)とアイツが立っていた。 まぁ、それなりの容姿なので大騒ぎになっている。 「初めましてだ、諸君。蒼(そう)だ。これから、よろしく頼む。」  そう言えば、俺、アイツの名前知らなかったわ。こんなんでいいのか俺。  あー、俺の隣、『入院中』だから、俺の隣になるかもな。  別に期待なんてしてませんよ……えぇ。 「じゃあ、柳(やなぎ)の隣な。あ、あそこの空いてる席だから。」  俺の名前じゃないか。予想通りすぎて笑いをこらえるのが大変。  蒼は、なんて言ったらいいんだろうか……遺風堂々?間違えた威風堂々と無駄に歩いてきた。  俺の顔を見て驚きを隠せないようだったがすぐに満足そうに微笑んだ。 「いやはや、君と同じクラス、しかも、君の隣になるとは」 周りから知り合いか?と驚きの声があがった(一部、羨む声)。 嫌な予感がしていた。蒼の口を止めるべきだと、俺の本能が言っていた。 「なに、そんな対した関係じゃない。私達は、ただ一緒に寝た仲だ。」  文字通り、俺の日常は、音をたてて崩れ始めた。 
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