―PUZZLE―

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 時は戦国、奥州の城で梵天丸は空を見上げていた。 「梵天丸様」  梵天丸は背後から聞こえた声に振り向き答える。 「どうした、小十郎」  片目の梵天丸の瞳に、小十郎が写った。 「お体が冷えます故、そろそろ御部屋に」  小十郎の言葉に、梵天丸は一度名残惜しそうに空を一目すると目をつむり呟いた。 「なぁ小十郎。俺は、死んだ方がよかったのだろうか」  ぽつりとこぼされたその言葉に、小十郎の目は全開に見開かれる。 「疱瘡にかかって失った右目。右目を犠牲にして生き残った意味とは何だ?」  不治の病と言われた疱瘡にかかり、生死の境から帰還した梵天丸を迎えたのは、自分を蔑む母だった。 一番愛されたい者から愛されない自分などに、生きている意味などあるのか。 「梵天丸様っ……」  今の小十郎には何もいえなかった。励ます言葉をうまく見つけられなかったのだ。 「……悪かった。今のは忘れてくれ」  梵天丸はそう悲しげに微笑み呟くと、部屋の中へと入っていく。その姿を小十郎は見送った。 「梵天丸様……!」  小十郎はやりきれぬ思いに拳を握りしめていた。 .
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