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翌日、梵天丸は稽古に励む小十郎を呼んだ。
「小十郎」
「は、いかがなされましたか」
小十郎はすぐに手を止め梵天丸にかけよる。
「城下を見たい、共を頼みたいんだ。父上にはもう許可はとった」
小十郎は危険だからと引き留めようと思った。が、すぐに考えを改める。
先日の言動から見ても今の梵天丸には休息が必要と判断したのだ。
家柄も身分もなく休める所を見つける。それが何よりもまだ幼い梵天丸を支えるものになると考えた。
お父上も、その事を見越しての外出許可なのだろう。
小十郎は、梵天丸の頼みに応じ、すぐに準備を始める。
そしてしばらく梵天丸が待っていると、着流し姿の小十郎が現れた。
「大変遅くなりました。すぐに行かれますか?」
「あぁ、俺の準備はもう整っている」
では参りましょう。小十郎が梵天丸を先導して歩き二人は城下に足を踏み入れたのだった。
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