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「ここが、城下町か」
町に並ぶ店の物はどれも梵天丸にとっては珍しい物ばかりで、梵天丸の目は何時になく輝いていた。
「? 小十郎、向こうには何があるんだ?」
梵天丸は路地裏を指さす。
小十郎は悲しげに説明した。
「向こうには、貧しい民たちが身を寄せあって暮らしております」
「俺たちで養ってやればいいじゃないか」
「今の奥州には、そこまでの資産はありませぬ」
梵天丸は小十郎の言葉に、今民がどの様な暮らしをしているのかを見てみたくなった。
いつか自分が主になった時、何をすべきか見定める為。
「梵天丸様? っ……梵天丸様!」
突然走り出した梵天丸。その先には路地裏がある。小十郎は慌てて梵天丸を追った。
「梵天丸様っ……!」
路地裏に入ってすぐ右。
そこに梵天丸はいた。
「梵天丸様……あまり無茶はなさいますな……」
梵天丸の無事を確認した小十郎は安堵のため息をもらした。
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