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三年前。一人の守護者の名が世界中の人々の記憶から姿を消した。
顔も声も辛うじて覚えているのに、どうしても名前だけが思い出せない。
これでもミリアはマシな方で、他の者たちは顔も声も忘れてしまった者がほとんどである。
それが青年に対する代償の支払わせ方だったのか、青年が自ら選んで支払った代償なのかは分からない。
分からないがワガママなお姫様は納得なんか出来るはずもなかった。
「やっぱり私にはアイツが死んだなんて信じられない。何年、何十年かかろうが見つけて説教してやるから……。待ってなさいよっ!」
自然な流れでとっさに名前が出るのでは? と少し期待していたお姫様は軽く落胆する。
そして、重い重いため息を吐きたい気分を変える為にテラスから星々の瞬きを見上げる。
普通ならここで、キレイ……、と落ち着きを取り戻したりするのだが、そこはワガママ姫様。
「私はぜーーったいに、諦めないんだからねーーーーっだ!」
もの凄く近所迷惑な大声で自分の決意を夜の城下町に向けて叫ぶお姫様。
現在の時刻は午前二時だったりする。迷惑以前の問題であった。
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