†Prologue†

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     † † †  海に囲まれた小さな島国(アクアノイド)。  ここは総人口一〇〇〇人程度しかいない、国としては小さい部類に入る国に在る城。  そこには、鮮やかな金糸のような髪をしているのに【漆黒の姫君】と呼ばれる姫がいた。  このアクアノイドは小さな島国とはいえ、大国と呼ばれるメルカトルと対等に渡り合っていた。  それというのも、今は亡き王妃がメルカトルの女皇と姉妹である事が強く影響している。  その為、幼い頃から彼女とメルカトルの姫君の間には交流があった。  そして今回、メルカトルの姫から一通の手紙が届いた。届いたのだが、 「何よ、これ? 必要な部分を抜粋すれば便箋一枚で済むのに、何で二〇枚もぐだぐだと……ッ! 新手の嫌がらせかしら?」 「そんな事言うもんじゃない。とにかく、その【鬼神】ってヤツを探せばいんだろ?」 「そうだけど……。ま、城から出られるなら何でもいいわよ!」  そう言うと漆黒の姫君は手紙を持って父王の所へ向かっていった。  それを見送った黒髪の青年は、窓から見える青い海を眺めて「お前を探すんだってよ」と呟いた。
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