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「リースはこの結末で納得してるのか? いや……、後悔しないか?」
「これは私とお父様との間で正式に交わされた約束だもの。後悔はするかもしれないし、名残惜しくもあるけど納得はしてるわ。だって私はアクアノイドの姫だもの」
政略結婚させられるんだろう、と。リースは幼い頃から理解していた。
それを今更とやかく言うつもりもないし、この縁談を纏めてよりよい方向へアクアノイドを進めて民を幸せにする事。それがリースの双肩に乗せられた果たさなければならない責任。
「まあ、その結婚相手の事を好きになれるように頑張ってみるわよ」
微笑みを浮かべるリースだが、その表情は当然ながら固い。
「リースの意思は理解した。では王よ、アンタはこの縁談を本気で纏める気か?」
胡蝶の言葉に対する王の返答は無言。
それは肯定と捉える事も出来るが、その表情からは苦渋の選択であった事が伺える。
それも親としては当然であろう。王はリースの婚約者が誰で、その者がどういう男なのかも知っているのだから。
つまり、王としては肯定的な婚約でも、親としては否定的であるという証拠に他ならない。
「あのさ、当事者である私を無視して二人してアイコンタクトで会話とかしないでくれる?」
不機嫌そうなリースの顔に胡蝶が目を向ける。
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