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「あああったく!! こんなんやってられっか!!」
続いて飛び出してきた怒声に、女性はあんぐりと口を開けて驚くしかなかった。
部屋の中では、虫食いだらけのソファーに一人の男がふんぞり返っている。
白髪混じりの灰色になった頭に、しわが刻み込まれたその顔からして、どう見ても年は50過ぎだろう。
「まあまあ、そう癇癪を起こさないで下さいよ。っていうか、アルバートさんが買ってこいって言ったんじゃないですか」
そんな初老の男をなだめているのは、金髪サラサラヘアーが爽やかな好青年だった。
年は、20前後といったところだろうか。
どこぞの俳優かと思うような端正な顔立ちて、穏やかな瞳が中性的である。
口の端には笑顔が張り付いていて、人当たりの良さそうな印象があった。
「あのなァ、キュリオ! 俺はこの知恵の輪よりもう少し簡単なヤツを買ってこいって言ったんだ!!」
足を組んでいた初老の男は、かかとでバンバンとテーブルの上を叩いた。
そこには、無残にもひしゃげて使いものにならなくなった知恵の輪が、3つ散らばっている。
テーブルの下には更に5つあった。
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