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併走する2機のアクティブステルス戦闘機の姿は、夜の闇の中では目視確認は出来ないほど微かだった。2機の備えるベクターノズルから放たれるジェットの炎だけが、2機の存在を告げ、アンノウンの後方から、密かに接近していた。
『ガイド2、俺が前に出る。
お前は後ろからサンドイッチしろ』
『了解』
2機の内、ガイド1のコードを与えられた機体がガイド2よりスピードを出し、アクティブステルスを解除し姿を表した。何も無い空間から、灰色の滑らかのシルエットが出てきたようにさえ見えるガイド1は、人型のアンノウンを追い抜くと、アンノウンの斜め前に陣取った。
アクティブステルスを展開したままのガイド2は、アンノウンの真後ろに付け、緊急事態に備える。その間アンノウンは、何のリアクションも返さなかった。
ガイド1は追い抜きざまに、アンノウンの姿を確認して居た。ある程度接近すれば、夜でも十分にその姿が観察出来た。
ガイド1の印象は、(人間じゃない)だった。確かに頭と手足を持っては居たが、そもそもレーダーの反応では、小型飛行機ほどで、ちょうどガイド1達が乗るアーチャーと同じ位のサイズなのだ。ガイド1が見たその姿も、確かにそのサイズで、頭や手足らしき物を確認したが。それは鎧を着たようなゴツゴツした姿で、頭らしき物はというと、目や鼻や口らしき物の無い、のっぺりとした顔が着いて居るだけだった。
『オイオイ、どっかに日本製って書いて無いだろうな?』
ガイド1は恐怖を紛らわせようと、ジョークを飛ばしたが。このジョークの根拠を真面目に考える人間が居て、査問会にまで発展するとはこの時のガイド1は思いもしなかった。
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