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金魚
最近、君のことばかり考えていたもんだから、ぼくはとうとう金魚になってしまった。
真っ赤なひらひらの尾ひれをゆらゆらさせて、ぼくはとうとう、金魚になってしまったのだ。
この部屋は天井のところまでずーっと空気があって、ぼくは溺れてしまう。空気に、溺れてしまう。ぼくは空気に溺れて死んでしまうだろう。苦しくて、息ができなくて、灰いっぱいに空気を飲んでしまったぼくは、もう何も、わからない。苦しくて。わからない。
君は今頃、誰かと会っているんだろう。話もするだろう。手もつなぐだろうか。
ぼくは金魚になってしまったから、もう君には会えないね。
話もできないね。手もつなげない。ぼくはただこうして、ここで空気に溺れて、
君のことばかり考えながら
ぼくの身体が
水溜りになるのを、待ってるんだ
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