たこ焼き小話

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わし、こないだ仕事で大阪いったんや。   そのついでに大阪行ったらたこ焼き食わなあかん思って、 そこら辺のてきとうな屋台でたこ焼き買ったんや。   ほんで、歩きながらパクついた。   そしたらな。   「あっ、なんや、これ、タコ入ってないやんか」   一つ食うて足が止まった。   「まったく適当な屋台で買うたらあかんな。  まあ、ひとつくらいいいやろ」   二つ目ぱくついた。   「なんや、これにもタコ入ってないがな」   三つ食うても、4つ食うてもタコ入ってない。   全部食うてから、一個も入ってなかったことがわかった。   かち切れてわし、屋台に戻って、おっさんどやしつけた。   「こら。おっさん。ボケ。こんタコ焼き。  タコ入ってないやんか。ええかげんなもん売んなや。金返しや」   そしたら、禿のおっさん、逆切れかましよった。   「なんや、こんガキャ。食うてから文句言うなや。  わしは、この界隈で40年以上タコの入ってないタコ焼き売ってんねん。  タコ焼きゆうたら、皮が命やろ。ぐにゃぐにゃして噛み切れんタコなんぞ  誰が好きで食うねん。そんなもんいらん」   無茶苦茶言うおっさんや。わしも後にはひけん。   「身のないタコ焼きなんて単にぐちゃぐちゃメリケン粉だけやろ? タコ焼きはタコが入ってなんぼや。  タコ入ってないタコ焼きやなんてめちゃくちゃやで。こらっ。メリケンサック食らわすでっ。おっさん!!」   「みんなわしのタコ焼きの皮だけ食う  ために買いに来んねん。全部食うてから文句言うても金は返さへんで。当たり前やろ?」   「食わな入ってないの分からんのやからしゃーないやろ。  そしたら、店ののぼりにタコ焼きなんてうたうなや。  タコ抜いて焼きだけにしとけや。焼きいれるで、おっさん」   「顔真っ赤にして口とんがらせて、お前がほんとのタコやろ?  お前に焼きいれてこれでタコ焼き完成や。文句あるかい」
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