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いつからだろう…
あいつを敵視するようになったのは。
「お、総悟!
トシみなかったか?」
「…知りやせん。
それより近藤さ…」
「そうか、ありがとな!
おーいトシー!!」
俺の言葉が届かなかったのか、近藤さんはまたヤローを捜しに行ってしまった。
「…。」
気にくわねェ。
土方が来てから、
みんな俺に構ってくれなくなった。
でも、一番気にくわないのは…
「差し入れです。」
と言って姉上が持ってくる弁当の中で、
一つだけ…ヤローの飯が、別にいれられていること。
…まぁ、マヨネーズとおにぎりが一緒に入ってたらいい気しませんけどねェ。
それでも、
ヤローは気にくわねェ。
俺の大切なモノ、
横から奪っていきやがる…。
――――――……
そしてある日。
「そ-ちゃん、お花見に行こうか。」
毎年恒例の、花見。
これだけはいつも二人だけで行っていた。
「はい、姉上!」
…なんて嬉しそうに笑った俺の顔が崩れるのは、それから間もなくのこと。
――――――…
「…なんで…。」
なんで、土方がいるんだ?
「お-総悟、ミツバ殿!
こっちこっち!」
近藤さんがいるのはいい。
けど…。
「たまには、
みんなでお花見もいいでしょう?」
そう言って笑う姉上に、
胸が締め付けられる。
どうせ姉上は…
土方と会いたかったんだろう?
「俺、帰ります。」
「え?そ-ちゃん…どうして?
せっかく来たんだから…」
「帰るって言ってるんでィ!!」
…初めてだった。
姉上に怒鳴った事なんて。
とても傷ついた姉上の顔に、
俺もショックをうけた。
…もう、嫌でさァ…。
気がついたら俺は走り出していた。
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