15人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわ…っ」
ベシャッ
――
転んでしまった。
だせェ…。
一つ大きなため息をつき立ち上がろうとすると、
「…っ!!」
転んだはずみで足をくじいたらしく、うまく立つことができない。
それでも近くの木につかまってなんとか立つと、
無我夢中で走ったせいか、
そこは今まで見たこともない場所だった。
「…ここ、どこ?」
辺りを見回しても人一人見当たらない。
「姉上、近藤さん…。」
足の痛みに耐えられず、
また木に寄りかかりヘナヘナと座った。
「…っ」
気が付くと、涙が頬をつたっていた。
…ばちがあたったんだ。
姉上にあんなひどいこと言ったから。
傷つけてしまったから。
俺ァほんとは、寂しかっただけなのに…。
「…総悟?」
頭の上で低い声がした。
「土方さ…っ」
見知った声に、思わず顔をあげてしまった。
そしてすぐに後悔する。
俺はこいつにムカついてんのに…。
「ど-した?足ケガしてんのか?」
「………まァ。」
小さく肯定すると、いきなりおんぶをされた。
最初のコメントを投稿しよう!