素敵な彼氏

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「失礼」 男は女性にそう言うと、席を離れ電話にでた。 「ちょっと!! まだ話している途中よ!!」 男は女性の言葉は無視して続ける。 「はい、はい、ご注文の品は只今仕入れ中で…………いや、少々お待ち下さい……。ご用意出来るかもしれません。 後程かけなおします」 男は電話を切り椅子に座る。 「まことに申し訳ありませんでした。 ……代わりといっては何ですが、素敵な男性を紹介しようと思うのですがどうでしょうか?」 「素敵な男性!?」 女性の顔がパッと明るくなる。 「はい。背が高くて、頭が良くて、スタイルが良くて、格好良くて、お金持ちで、美食家で、料理をするのが好きな男性です」 「本当!? 料理もできるの?」 「はい。特に肉料理が得意なそうで。彼を紹介しましょう。話は通しておくので今から彼の家に行ってみてはどうですか?」 そう言って男は女性に写真と名刺を手渡した。 名刺には神崎正彦という名前と、連絡先と住所が載っている。 写真には話通りの男が写っていた。 「そうね!! ありがとう!! 今から行ってくるわ!!」 女性は喜んで店から去った。 女性がいなくなった後、男は携帯電話を取り出した。 手慣れた手付きで番号を打ち込こんでいく。 目当ての相手はすぐに電話に出た。 「――もしもし、神崎様ですね。先ほど注文された"素敵な食材"をそちらにおくらせて頂きました」
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