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素敵な彼氏
ネオン街の細い路地の奥の奥。
普段は酔っぱらいぐらいしかこないようなこの場所に一人の男が店を開いていた。
店といってもそんな立派なものではない。
机と椅子が置いてあるだけで、後は机の上に並べられたよくわからないガラクタと
【何でも屋~あなたの願い叶えます~】
と書かれた看板が立て掛けられているだけだ。
男は椅子に座り客を待っていた。
深く被ったその黒いフードからは、口元しか覗き見ることは出来ない。
男はいつもここに店を構えているわけではない。
あてもなくフラフラと移動しながら目立たないところに店を出す。
今日はたまたまこの場所に店を出しただけである。
夕方に店を出してからもう数時間。
すっかり辺りも暗くなった頃、初めて客がやってきた。
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