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翌日。
大樹達は朝からゲーテの報告を聞いて驚いた。
しかし、自分達にはもう関わりはない。
その事件はマジッカーズが解決してくれるのを祈るのみであった。
そして大樹は今、レミと二人で元サイティスト魔法学園に来ていた。
昨日レミに少し付き合ってくれと頼まれたからである。
元というのはこの魔法学園が別の場所に新しく建設されるからである。
そして元サイティスト魔法学園は一カ月後に解体されてしまう。
「意外にキレイだね」
「私も一年ぶりに来たけれど、確かにキレイね」
学園の中は廃校の校舎には見えないくらいキレイであった。
そしてレミがとある一室に入る。
それに続いて大樹も入った。
「ここはジークと初めて会った教室……」
レミは柔らかい表情で言う。
そしてある席の場所までゆっくりと歩み寄り机の上を優しく撫でた。
おそらくジークの席ではないかと大樹は思った。
「ねぇ……泣いてもいいかしら?」
「……うん」
するとレミはジークの席にすがるようにして肩を震わせ始めた。
ジークの名前をか細い声で何度も呼ぶ。
「……私…………あなたのこと、まだ好きなの……でもね……忘れるわ。忘れるの…………だから……さようなら」
レミは真っ赤な瞳で笑顔をつくる。
大樹は何かを決めたのかレミのもとへ歩み寄る。
「俺、風見大樹!よろしくな!」
大樹は笑顔でレミに握手をもとめる。
「…………バカ……嫌い」
レミはその差し出された手を握る。
二人は微笑みながらお互いを見る。
「(…………ありがと)」
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