~第1章 傷付いた鍵盤~

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-10年前。 「やっぱり若葉ちゃんは“天才”ね!」 「うちの子とは大違いやわぁ。」 「そうそう。 若葉ちゃんは持って生まれた“才能”があるもの!」 「若葉ちゃんみたいな“才能”の持ち主にうちの子が敵うわけないわ。」 「当たり前じゃない! 若葉ちゃんは“天才”だもの。 私ら庶民とは違うのよ。」 -“天才”“才能がある” 生まれた時から言われつづけたこの言葉。 私には苦痛でしかなかった。 《私は“天才”なんかじゃない! 私に“才能”なんてない!! ・・・皆が言う“天才”は私みたいな子に言うものじゃない!!!》 私はスカートの裾を握り締め、そう言いたいのを堪える。 「私も皆と同じ様に努力してきたのに・・・」  
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