~第1章 傷付いた鍵盤~

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  《何で・・・》 「流石和泉さんのお嬢様は違いますね!」 10年経った今でもなお言われ続けている言葉。 「いえいえそんな! うちの子なんてまだまだで・・・」 「そんなことありませんよ! 天才ピアニスト 和泉 沙和さんの娘さんですもの!!」 私の名前は和泉 若葉[イズミ ワカバ]、天才ピアニストと言われる和泉 沙和[イズミ サワ]の娘である。 この母の下に生まれ、いつも周りからは特別扱いされていた。 確かにこの人達が言うように、私のピアノは同年代の子に比べれば上手い方だと思う。 勿論それはこの人が言う“才能”なんてものではなく、努力の賜物だ。 だからコンクールに出場すれば、優勝するのは当たり前・・・だった。 だったのに! 今、私が置かれている状況は違っていた。  
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