44582人が本棚に入れています
本棚に追加
もう自分でも何を考えているか分からない。
思考回路はショート寸前です。
俺以外の人間はやってやるぞみたいなオーラを放っており、全身から生気が溢れ出ている。
かくいう俺は色で表すなら赤紫。
死神を呼べそうな気がするぜ。
「幸助君!頑張ってね!」
この公共のど真ん中で一切恥じらわずに笑顔を向けるマイ彼女。
それと共に降り注ぐ殺気の嵐……
へっ。
そんなもの、もはや慣れましたよ。
とっても可愛い彼女の笑顔があるんだ、怖いものなどない。
……ただ、数秒後にはきっと失望するよな……
今更ながら泳げない事を言っとくんだったと後悔するばかりだった。
「よし、始めるぞ。位置について、よーい……」
けど沙羅は応援してくれる。
泳げなかろうが、カッコ悪かろうが最後まですがってやるぞ!
ピーッ!
軽快な笛の音が鳴り、一斉にスタートする今を青春時代として生きている少年達。
少し遅れてスタートした直後、必死な俺の耳にプールサイドから盛大な笑い声が聞こえてきた。
「ハハハ!茅島君何!?」
「ヤベー!腹筋割れる……」
「記録会でいぬかき!?」
俺の耳には詳しい事は聞こえないが、笑われてるのは確実に俺だろう……
だが無知な俺には、最も速く進める手段はこれしかないんだ!
……だが現実は甘くありません。
わずか5メートル、僕の身体は着々と沈んでいき、とうとう頭まで水中に入ってしまいました。
立てばいいのに身体が動かず、呼吸は苦しくなるばかり。
だけど神様。
こんな状態だけどあなたに問いたい。
クロールって何ですか?
最初のコメントを投稿しよう!