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「……でもやっぱり泳げない男なんて嫌だろ?」
沙羅の言葉は嬉しかったが、やっぱり複雑な思いは消えない。
さっきだって俺が変な事したせいで、少しは沙羅だって笑われたりからかわれたりしたはずだ。
自分が不甲斐ないが為に沙羅に迷惑をかけるのがかなり悔しかった。
俺は体育座りでふて腐れ気味にボソッと呟いた。
そんな俺とは対照的に、さっきからずっとニコニコしている沙羅。
何がそんなに楽しいんだろうか?
そんな事を考えていると、沙羅が突然俺の頭を撫でてきた。
「ふふっ、今日の幸助君、すっごく可愛い」
「なっ!?」
可愛い?
俺が?
それはおかしいだろ、正樹でもあるまいし俺に可愛いを有するパーツなど存在しないはずだ。
「あ~顔真っ赤になってる!」
「違っ、これは…」
「うん、可愛い可愛い!」
……仕方ないじゃんか……
可愛いなんて初めて言われたんだぞ?
しかも沙羅の顔は近いし……
赤くなるのは当然、この世の性さ……
「もう、そんな事で嫌いになると思った?私はね、すねたり可愛かったりする幸助君を見れてもっと好きになったよ?」
……もっと好きになった……
……モットスキニナッタ……
ヤバイねこれ、攻撃力3000は軽く越えてるわ……
てかなんでこんな恥ずかしい台詞を真顔で言えるんだ?
聞いてる俺の方が顔赤いってどうよ……
俺は恥ずかしさのあまり、沙羅の顔を見る事ができなかった。
「ねえ、幸助君……」
沙羅がなんとも甘い声で俺に呼び掛ける……
ちらっと沙羅の方を見ると、さっきとは違って少し顔を赤くした沙羅がいた。
……なんだ……?
……何を言うんだ……?
「……キス………したいな……」
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