水泳~実は俺……~

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「はい……?」 キス? 沙羅が言ったのか? いや、ここではマズイだろ? あっ、飛行機雲……! まさか、冗談だよね…? 「いや、沙羅、それこそ人前はマズイだろ?それにムード的におかしくないか?」 冷静を装っていますが、かなりテンパってます。 そりゃいきなりキスしたいなんて言われたら、誰だってテンパるっしょ? とりあえず、この状況でのキスの危険性をおなじみ、ジェスチャーを用いて説明した。 「……むぅ、そんな事ないもん。皆プールに集中してるから大丈夫だもん。それに……」 沙羅は少し膨れ気味に俺に対抗してきた。 そして、その後に続けた言葉が、完全に俺の思考を崩壊させた。 「こ、幸助君が悪いんだよ? こんなに可愛いから……私が我慢できないよ……」 俺の顔が一瞬で熱くなる…… 効果音を充てるなら、盛大にボンッという音が鳴り響くだろう…… 一言言いたい。 なんだこの可愛い生き物は!!? もはや絶滅危惧種、ティラノザウルスの100倍は強力だ…… こうなった以上、俺に拒否権はない、まあ、あったとしても使う事はないけどね…… 「じゃあ、先生が笛吹いた時にするから……」 「うん……」 俺がそう言うと、ゆっくり目を閉じ始める沙羅。 ……うわぁ、この瞬間が一番緊張するんだよな…… しかも今はお互いが水着、緊張の幅が半端ない…… だが俺も男、やると決めたらやるんだぜ。 ピーッ! 沙羅が目を閉じてわずか数秒後に笛の音が鳴り、 俺は沙羅と唇を交わした。
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