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三度目のキス。
やる前は、周りの視線が怖いとかいろいろと考えていたが、してしまうと他の事がどうでもよくなるのが分かる。
それほどまでに夢中になれるもの、それがキスなんだと改めて実感した。
「………」
唇を離す。
この時はやはり、少し寂しい気持ちがする。
でもそれも束の間。
沙羅と目が合うと、満面の笑みを俺に返してくれた。
こういうのが幸せって言うんだろう、後からしみじみと感じられる良い心地が理解させてくれる……
「もう一回」
「えぇっ!?」
なんですと……!?
ただでさえ学校という場でするのはそれなりに覚悟がいるのにもう一度だと!?
どうしちゃったんだ沙羅、君はそんなに大胆じゃ……
「う~そだよ、ベー!」
……あれ、目の前に小悪魔のような天使が見えるぜ?
ははっ、沙羅があっかんべーするのは世の中の男性の為に禁止した方がいいね。
…いかん、鼻から赤い液体が出そうだ……
「沙羅!次沙羅の番だよ!」
「ホント?ありがとう茜ちゃん!」
もう少し二人の時間に浸っていたかったが、谷口に呼ばれて沙羅はプールの方へ行ってしまった。
……なんだか……寂しいです。
なんて考えていたら、沙羅はこっちに身体を向き直して、
「応援してね!」
と、それはもう渡君にも劣らない爽やかな笑顔で言ってくれました。
読心術でも心得てるんじゃないかと思いたくなるくらい完璧なタイミングで振り返ってくれた沙羅は、どうやら俺の心を掴んで離してくれないらしい。
「もち!」
俺はそう沙羅に返してプールが見える場所まで移動した。
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