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「僕から話を振っといてあれだが、この話は止めよう。目的地にも着いたし」
俺が自分への嫌悪感と皆への罪悪感で包まれていると、車が停車し、二人とも車から降り始めた。
遅れないようにと俺も慌てて降りたのだが……
「…………駅…………?」
今日は確か買い出しの為に外出したはずだ。
それなら、スーパーか市場に向かうもんじゃないのか?
俺は不思議な気持ちを抱かざるを得なかった。
「ああ、ちょっと用があってね」
俺にそうだけ言うと、澤崎さんは駅の中へと向かっていった。
「かなり残念だな」
ヤスさんが俺の頭を叩きながら淋しそうに呟く。
そして澤崎さんの後を着いて行く……
……残念……?
さっきから何なんだこれは?
現状を理解できない俺は、ヤスさんを追い掛けるしかできなかった。
ホームはうるさかった。
そろそろ電車が発進するのか、場内コールや人の足音が異様に響く。
俺は周りに気をつけながら二人のいる場所へ向かう。
「ここに用って何ですか?何か買いに来た訳でもなさそうですし」
俺は人混みが好きではないので、こういう場所はできるだけ避けたい。
そう思い二人に尋ねると、二人は俺を憐れむようにじっと見た。
……なんだ……?
さっきから二人とも……
「幸助君……突然で申し訳ないんだけど……
君はクビだ」
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