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「…………はっ…………?」
意味が分からない。
俺がクビ?
しかもこのタイミングで?
冗談のようにしか聞こえないが、二人は真剣に俺の目を覗き込む。
「……な、何ですか急に?冗談でしょう、俺クビになるようなミスなんてしましたっけ?」
「いや、正直君の働き振りには感服してるよ。僕もここまでできる16歳に会った事はない」
「じゃあ……なんで?」
「……上の命令だよ。今日君を解雇してある場所へと向かわせろと……」
……上の命令……?
如月さんが!?
どうしてだ?
あの人は俺を料理で縛るんじゃなかったのか?
クビなんて、まったく正反対じゃないかよ。
俺を逃がす事と一緒だろ?
……あの人は……何を……?
「オラ!時間ねえんだ!さっさと行きやがれ!」
すると、ヤスさんは俺に切符を渡し、強引に改札口に連れて行く。
「はい、どうぞ」
俺は改札口を抜けてすぐに後ろを振り向いた。
……二人は……ニッコリと微笑んでいた。
「……ホントに……幸せ者だよお前は……」
ヤスさんが何か、言ったような気がした。
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