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駅員に三番乗り場と言われたので、急いでその場所へと向かう。
正直電車に乗る必要などないのだが、切符に書かれた値段は結構なものでただの紙切れにしてしまうのは忍びなかった。
一分程で到着し、既に止まっている電車に乗り込み、空席に座る。
『三番電車、発車します』
アナウンスが流れ、電車はゆっくりと動き始める。
俺は窓から少しずつ変わる風景をぼんやりと眺めていた。
……二人の笑顔は何だったんだろう……?
邪魔な奴が消えて喜んでたのか?
……いや、そんな醜い笑顔じゃなかった。
クビだと言った時の重い雰囲気とは正反対の優しい空気……二人からはそう感じ取れた。
でも、やっぱり如月さんの判断はまったく理解できない。
……確か澤崎さんは俺をある場所へと連れて行くように言われたと言っていた。
切符を買ったって事は、ある場所はこの電車の先か?
値段的に考えればここから遠い所なのは間違いない。
でも、駅の名前だけじゃどこに向かってるか分からない。
どこかで見た気がするのに、俺は今向かっている駅の名前が分からなかった。
次第に俺は、電車の適度な揺れに眠気を誘われ、背もたれに身体を委ねながらゆっくり目を閉じた。
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