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心臓が大きく高鳴った。
身体に雷でも落ちたかのような感覚……
忘れる事ができなかったのは表情だけじゃない。
俺を呼ぶ時のあの声も、一度たりとも忘れた事はなかった。
会わせる顔なんてない……そう思っても俺の目線は声のした方向へと向く。
そこには……
女の子が一人立っていた。
顔はつばのある帽子を被っていてはっきり見えないが、顔なんて見なくたって分かる。
腰まで伸びる綺麗な黒髪が、俺の確信を裏付ける。
そして服装。
黄色の薄い生地の長袖に白と水色のチェックのミニスカート……
これは……
君の初デートの時の服装。
間違うはずなどない、二ヶ月の月日が経とうとも、俺の中にずっと居続けた君を……
「……沙羅……」
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