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声に出した後、あまりに唐突過ぎる出来事に身体が動かなくなった。
……なんで沙羅がここにいるんだ……?
何処かに出掛けるつもりだったのか?
……いや、今はどうでもいいか……
……ホントに……沙羅なんだな……
もう二度と会う事のないと思っていた沙羅が……
……でも……俺達は恋人ではない。
会わす顔がない程に酷い事を言った。
彼氏だってできてるかも分からない。
罵倒されたって……文句は言えない……
俺が沙羅との再会を素直に喜べずに棒立ちしていると、沙羅はゆっくりと俺に近付いてきた。
「久しぶり」
「……あ……うん……」
沙羅が笑顔でそう言った為、俺は動揺して言葉が出てこなかった。
……なんで……俺なんかに笑顔を振り撒けるんだ?
俺は……深く君を傷付けたんだぞ?
馬鹿で、他人の気持ちを考えずに決断して、傷付けて、後悔して、本当にどうしようもない奴なんだよ。
そんな俺に……笑顔なんて止めてくれ……
俺は幸せを望んじゃいけない……
……幸せを望む資格なんてないんだから……
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