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「沙羅……!」
今まで溜め込んできた想いを放出するように、さっきよりずっと強く抱きしめる。
涙は止まらない。
別に止まらなくていい。
……感涙の涙で……歓喜の涙だから……
「……ゴメンな…?あんな酷い事言って……」
とにかく今は、沙羅に謝りたかった。
事情が事情とはいえ、沙羅を傷付けたのは事実。
俺の自己満足で沙羅を苦しめたのだから……
「もう……いいの」
「……ホント?」
「うん、でもその代わり……
二度と私から離れたらダメだからね?」
……ああ……
絶対離れない。
離れてやるもんか。
また、俺達を引き裂こうとしても、逃げずに全力で立ち向かってやる……
……もちろん……沙羅と一緒に……
「離れない。絶対沙羅から離れない」
「絶対だよ?」
「絶対だ」
「……幸助君……」
沙羅が顔を上げてゆっくり目を閉じる。
……そうだな……これも久しぶりだ……
俺は、沙羅に顔を近付け、唇を重ねた。
ずっと……ずっと……
お互いが満たされるまで、俺達は離れる事はなかった。
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