プロローグ prologue

2/9
前へ
/317ページ
次へ
色彩を忘れてしまったかのような部屋だった。 10畳程度の広さのその部屋は、ドアも壁も天井も床も白く、置かれた調度品はモノクロームで統一されている。 ドアの向かいに大きく壁を切り取って作られた窓が外の景色を映し出していたが、それも春を待つ木々や芝生の渋い色調となっていた。 窓は一枚の強化ガラスで出来ており、決して開放して風を取り入れる事も叩き割り外へ出る事も出来ない、ただ外という四季によって変わる退屈な絵画を見せる為だけのものだった。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1248人が本棚に入れています
本棚に追加