ネズの木
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夫婦の家には庭があり、その庭の片隅にネズの木が一本生えていた ある冬の日、妻はそのネズの木の下に立って見苦しい枯れ枝を手でもぎとろうとしていた だが そのとき枝の先で引っかけて指を切ってしまい、積もった雪の上に一滴の血がぽたりと落ちたのである 「………はぁ」 と、妻は真っ白な雪を染めた鮮やかな血の色を眺めながら、ため息をついた
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