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少年……紗貴は笑顔を向けてきた。
確かに何かの縁かもしれない。
そう感じざるを得なかった。
この桜が巡り合わせてくれたんだと、何故だか感謝すら覚えた。
朱里は紗貴に返事を返さず、無言で桜を見上げる。
何も言わず、ただそこに佇んでいるその姿。
堂々としていて、華やかで、朽ちることのないその癒しの存在。
時々強く吹く風も気にならなかった。
それくらい、この桜の木の下で巡り合えたことを素晴らしいとさえ思えていたはずだ。
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