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「──……ぞ」
「えっ?」
その人物が急に何かを発した。
しかも振り向きもせずに。
でもその声は突然吹いてきた強風に掻き消されて、ホンの僅かにしか耳に届かない。
何を言ったのか聞き取れなかった朱里は間髪入れずにもう一度聞き返す。
「喰われるぞ」
その言葉に、一瞬動きが止まった。
喰われる?
いきなり何を言っているのかと思った。
どういう意味合いで言っているのか、全く理解出来ない。
なのでどういうつもりか聞くために、もっと近寄る。
眉根を寄せて、訝しげに。
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