†入学式†

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頑張って息を吸おうとしてるのに上手くいかなくて。 涙が溢れた。 泣いたら余計に苦しくなるのが分かっているのに。 止まらなかった。 その咳に混ざって嗚咽まで出てくる始末だ。 視界が、ぼやける。 そして自分の体を支えきれなくなった朱里は前のめりに倒れ込む。 それを、寸前のところで少年が支えた。 「大丈夫か?」 静かだけど、確かにしっかり聞こえるその声。 何故だか安心出来た。 でも未だに止まらない咳と嗚咽と涙。 ぐちゃぐちゃになった顔を両手の平で包むと、少年は目を閉じさせ、しっかりと立たせる。
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