【3】不穏な影

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『ティーク、状況を教えて。』 ラブが助け舟を出した。 『ああ。(ホッ。)』 アイがモニターにアメリカの防衛網を映し出す。 『今回は、この防衛システムが全て麻痺した。アリゾナのNASAがやっと復旧し、始動したタイミングでの出来事だ。原因はまだ不明だが、何者かが、システムを占拠しようとした様で、全てのアクセスをチェック中だ。』 珍しくティークの表情に自信がない。 『納得できてない様子ね。ヘブンとの繋がりはどう?』 『今のところ、関連性は見当たらない。しかし、大きなリスクを持って一旦手に入れたシステムを、何もせずに簡単にまた返すなんてな・・・。』 『単に自己満足なハッカーなんじゃないか?オタクのやりそうなこった。』 『さすがT2ね、オタク様の気持ちがよく分かっていらっしゃるようで。』 『おう、任せとけ。』 心配そうにラブがたずねる。 『現在は完全に回復した・・・の?』 『いや・・・。実は一箇所、南米のペルー共和国に配置されたミサイル基地が、未だ制御不能であり、やむなく電源供給を全てシャットダウンしている。』 『あら、ペルーですか・・・。懐かしいですわ。あそこには・・・』 ヴェロニカの目が輝く。 『おいおい、お嬢様、想い出話をしている状況ではないぜ。』 『わかっていますわ。オタクの神様。』 この二人のいつものバトルに呆れるラブ。 『とりあえずは、急場はしのいだってことね。』 そう言いつつも、ラブの頭の中では、不穏な渦が広がり始めていた。 ラブは自分のこの感覚が、いつも間違わないことを知っていた。 (ラブ、私も用心するべきと思います。こっそり防衛システムの裏側を探ってみます。) (よろしく、アイ。) その時、メイの声が響いた。 『ラブ、大変!大都病院が爆発したわ!!』 『なんですって!アイ、モニターに出して。』 メインモニターに映像が映し出された。 大都は、都内最大の病院である。
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