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『ティーク、状況を教えて。』
ラブが助け舟を出した。
『ああ。(ホッ。)』
アイがモニターにアメリカの防衛網を映し出す。
『今回は、この防衛システムが全て麻痺した。アリゾナのNASAがやっと復旧し、始動したタイミングでの出来事だ。原因はまだ不明だが、何者かが、システムを占拠しようとした様で、全てのアクセスをチェック中だ。』
珍しくティークの表情に自信がない。
『納得できてない様子ね。ヘブンとの繋がりはどう?』
『今のところ、関連性は見当たらない。しかし、大きなリスクを持って一旦手に入れたシステムを、何もせずに簡単にまた返すなんてな・・・。』
『単に自己満足なハッカーなんじゃないか?オタクのやりそうなこった。』
『さすがT2ね、オタク様の気持ちがよく分かっていらっしゃるようで。』
『おう、任せとけ。』
心配そうにラブがたずねる。
『現在は完全に回復した・・・の?』
『いや・・・。実は一箇所、南米のペルー共和国に配置されたミサイル基地が、未だ制御不能であり、やむなく電源供給を全てシャットダウンしている。』
『あら、ペルーですか・・・。懐かしいですわ。あそこには・・・』
ヴェロニカの目が輝く。
『おいおい、お嬢様、想い出話をしている状況ではないぜ。』
『わかっていますわ。オタクの神様。』
この二人のいつものバトルに呆れるラブ。
『とりあえずは、急場はしのいだってことね。』
そう言いつつも、ラブの頭の中では、不穏な渦が広がり始めていた。
ラブは自分のこの感覚が、いつも間違わないことを知っていた。
(ラブ、私も用心するべきと思います。こっそり防衛システムの裏側を探ってみます。)
(よろしく、アイ。)
その時、メイの声が響いた。
『ラブ、大変!大都病院が爆発したわ!!』
『なんですって!アイ、モニターに出して。』
メインモニターに映像が映し出された。
大都は、都内最大の病院である。
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