第一章 ―地下組織―

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この記録は戦後も一切発表される事無く、闇から闇へと葬られた影の作戦を記したものである。 欧州へ派遣された特務機関の秘匿名は、『W機関』とされその意味は西欧のWESTの頭文字と、ヒットラーとスターリンの二人の独裁者を暗殺する事から、名付けられていた。 そのW機関に所属する隊員の名も素性も、決して明かされる事はなかった。 これは、新生帝国の本編が希望溢れる聖なる歴史ならば、暗部とも言える暗黒の歴史であったのだ。 「…、それで、あんたらの名前は?」 「ニキータと呼んでくれ。それでこっちがレオニード、これがユーリ、あいつがコンスタンティン、そっちがミハイルにボリス、あとウラジーミルだ。」 「ほぉ、七人共ずいぶんとまぁ、ロシアっぽい名前が揃ったなぁ。」 「あぁ、みんなこんな顔してるが、れっきとしたロシア人だからなぁ。ところで、あんたの情報は確かなんだろうな。」 「ん?なんの事だ?」 「ウクライナ人民共和国時代の地下弾薬庫の在処の話だ!」 「おっと!その事は、まだ話せんな。俺は、その辺の馬鹿共とは、違うんでな!わっはははー。」 ヤコブは、あまり賢くはなかったが肝心な点で間抜けでもない、普通のウクライナ人だった。
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