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僕の右目には死が写り
僕の左目には生が写る
僕の右手は闇に呑まれ
僕の左手は光を掴む
僕の右腕は力を選び
僕の左腕は優しさを手に入れた
僕の右胸からは無が聞こえ
僕の左胸からは鼓動が響く
僕の右足は夜道をさ迷い
僕の左足は青い草の上を進む
闇に呑まれた右手は
冥界で温もりを求め
光を掴んだ左手は
天界で孤独を避ける
力を手にした右腕は
白銀のナイフを真紅に染めて
優しさを手にした左腕は
肌色の命を少しずつ育てる
無が聞こえた右胸は
永遠に沈黙を破らず
鼓動が響いた左胸は
限りある時を刻む
夜道をさ迷った右足は
やがて昨日の入口に入り込んで
青い草の上を進んだ左足は
ゆっくりと明日への扉へ向かう
死が写った僕の右目からは
静かに微笑む貴女が見えた
生が写った僕の右目からは
静かに微笑む貴女が見えた
僕の両目からは貴女が見えた
貴女が見えた
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