花より団子より平穏

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「じゃあ反対派は手を挙げて理由を述べて!」 さすがは会長と言ったところだ。あれほど騒いでいた川御と隆騎を黙らせて会議を始めるとは。特に隆騎なんか今となっちゃきちんと挙手をする利口さだ。 「俺ぁ(ペロペロ)花見なんかしても(ベロロッ)将来役立たな(チュパパババ!)思う」 ただし、コイツに棒キャンディーを与えて黙らせたことには感心しない。 「何て言ってんのか分からないわ。真谷、通訳」 すると川御は、 「『ミルキーはママの味』だそうです。会長、コイツを今すぐ窓から捨てようと思うのですが」 強引すぎるだろそのシナリオ!半分以上捏造じゃねーか。 見かねた海留がとりあえず隆騎から棒キャンディーを奪い去って掌握し、その残骸を窓から廃棄し、じゃあもう一度言ってよ、と隆騎に微笑んだ。固まった隆騎に武力差を垣間見た瞬間だ。 「要はだな、桜の木の下で飲み食いするのはその……桜の神に失礼じゃね?」 さっきよりも言っていることが正当的かつ宗教チックになっているのは、海留の強烈な武力制圧のためにほかならない。 「まあ……そう考えると確かに」 納得してしまう会長。 「ですが、散りゆくだけの花びらを楽しそうに眺めてくれる人がいるだけで……それだけで桜は幸せなのではないでしょうか」 無理矢理過ぎるこじつけだなオイ!言い切った川御は何だか感に浸って窓の景色に見入ってるし! 「そう考えると……」 そして優柔不断な会長。大丈夫なのかこんなんで。 結局川御と隆騎に掻き回される始末となった多数決会議は、またもや海留の武力支配により強引に賛成の方向にもっていかれたのであった。ま、確かにこうしなきゃ永遠に終わらなさそうな雰囲気だったから助かりはした。 「それじゃあまた放課後、荷物分担するから!」 そして風上三奈生徒会長は一足も二足も早く部屋を去っていった。 「………」 本日俺は、この生徒会室に来てから何も発言していない俺。いや、発言できなかった。 呆気にとられた。 俺は正座中のように両拳を握って嫌な汗を額から流し、うつ向きながらこう思った、何なんだこの生徒会!展開早っ!この先大丈夫なのコレ、クレーム来ない!? 「中学の時からこんな感じだから♪」 海留のスマイルをまともに見ている気分ではなかった。先が思いやられるよ。
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