プロローグという名の追憶

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何事もなく過ぎる日々に退屈して、いつの日からだったかは覚えちゃいないが、俺は不良を目指し始めていたのだ。 不良の何が良いかと言うと、やはり友達と馬鹿をやって、いつもより一層面白い日々を送ることが出来るという理由に他ならない。 しかし進路のことを突きつけられてたじろいだ過去の俺は、不良の一歩手前、言わばちょい悪を目指そうだとかいう中学生から見た三角関数並に霧めいたことを考え出し、結果悲しいながら現在の俺にそんなスタイルが浮き出ている次第だ。長めの髪とか。染めたりはしないけど。中途半端だろう? 要約すりゃ、過去の俺は騒がしい日々が欲しかった!そりゃもう飽きるくらいに。 ところがだ。俺はそんな欲を綺麗さっぱり失って、今となっては授業中の暗黙の法則から生まれる静寂の時間を、退屈どころか良いものだと考え始めるようになったのだ。 まあそれには少なからず、いや、ほとんど全てに我が高校の生徒会が関わっているわけだ。 騒がしい日々が欲しかった?バカ野郎、限度ってもんがあるだろうが!間違っても高望みはせず、今目の前にあるもので満足をしておくことを過去の俺に手段さえあれば推奨したい気分だ。 さて、成就もしない過去の俺への要望および憤慨を冒頭から連ね始めたのには、生徒会に対したそれなりの理由がある。 いつだったかな、俺は入学から二週間経ったあたりの世界史の授業で居眠りをしたのだ。それだけなら別に教科書の角でど突かれて笑い物になるくらいだからどうでも良いのだが、相手が悪かったな。 その時の世界史の担任は、関東で最強の教師と唄われる『皇帝』という異名を持った鬼桐教師だった。 その後皇帝から昼休みに呼び出しを食らったときは正直死を覚悟したものだったが、拍子抜けにも、物品配達―――要はパシリ?という処罰だけで俺は釈放されたのだ。 いやっほうと喜んで、かつてこの教師に捕まって誰も成し得なかっただろうこの偉業を友に対して自慢する言葉をあれこれ考えつつ俺は……… ん?生徒会はいつ出てくるのか? 焦るな。そのウカウカした気分をぶち壊してくれたのが生徒会ってわけだよ。 配達物の届け先が生徒会室ってわけだ。 いやあ、今思えばまさしく化け物の住み家と言って良い空間だった。やはり、そしてさすが皇帝の刑罰だ、と言っていい。
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