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その住み家に住まう化け物達はいわゆる生徒会役員で、本来なら人間に無害な奴ら………てか、むしろ生徒の味方のはずなんだが、俺に対しては違ったようだ。
突然の死刑執行と来たもんだ。
死刑?知らねぇ、俺帰るから!なんてノリが許される領域じゃなかったということは理解してほしい。
ビデオにでも撮っておけば良かったかな?いきなり会長が右手を青く光らせて横に振ったんだ。
するとどうだ。部屋の床が横一線に刈り取られた。唖然とする以外に俺のコマンドは残っちゃいなかったさ。
しかし不思議なことに俺はこの通り生きている。ぷよぷよで言うフィーバータイムに匹敵する大破壊が連鎖してもおかしくない校舎の損傷があったにも関わらず、だ。
実はどうやら、俺には単純な破壊作業なら間一髪かわすことのできる本能的能力『風読み』が生まれつき備わっているらしい。
……納得いかん。今のコレが単純な破壊作業?馬鹿いえ、十秒で敵陣がお邪魔ぷよで埋まるわ。という感じのことをのちに生徒会役員の一人に尋ねたところ、「きっかけとなる破壊自体は単純なものだから」と返された。……その後も小一時間考えた憶えがある。
そうして会長は俺の身柄を保護するだのなんだの言って―――たぶん俺の能力目当てなんだろうが―――俺は生徒会に強制入会させられたのだった。
…といったエピソードを基盤として俺の日常崩壊が着々と進んで現在に至っている。
現在と言うのは、すっかりやつれた面持ちで通学路を歩んでいる俺の状態を指す。
妙なことに首を突っ込んだことで―――いや、生まれつき風読みとか言うスーパー能力が備わっていたのだから、いずれ闇の組織的なものが家の前に現れて黒い車に俺を詰め込んで手術台の上にでも大の字にされる運命だったのだろう―――俺のちょい悪的青春物語が呆気なく幕を下ろしてしまったということには最近悲しみを感じなくなった。
人生山あり谷ありとはよく言ったもので、絶望気味だった俺も少しは立ち直れることが出来た。その理由と言うのが、生徒会役員の皆を俺の友として認識できるようになったこと、かもしれん。
こんなことを言って、早くも住めば都状態じゃねーかとツッコミたい気分にはなるが、やはりこの先の高校生活には親友そして新友が必要であり、しかし俺は生徒会に入ることでそれが五人ほど手に入ったのだから文句は言うまい。
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