花より団子より平穏

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やがて俺を先導していた三奈は、生徒会室の戸のノブに手をかけるや否や速攻で奥へと戸を開け放った。勢いが良すぎて開いた戸がサンドバックのように戻ってきて閉じかかる始末だ。 「会長、朝から騒がしいですよ」 キビキビとした声を閉じかかった戸を挟んで向こうから聞いた。三奈が戸を気まずげに開きなおすと、やはり予想していた人物がそこにいた。 癖のある明るいショーとヘアから覗く左目。顔の右半分は黒いベールのようなもので覆い隠しているという不思議なルックスの生徒会書記、川御真谷である。 「真谷、花見行かない!?」 と、生徒会書記からの指摘を華麗に無視して続ける三奈である。 しかしその言葉にいち早く反応したのは、 「花見だぁ?そんな事してるぐらいならトランプタワー作ってた方がマシだ!」 や、それだったら俺は花見行くけど。 今発言した男子は……まあ、すんごい不真面目な会計監査である。名を溝内隆騎と言い、役職が会計の副的地位である「監査」という時点で、こいつ狙ったな?感が込みあげる。 構わず三奈は主張を続ける。 「隆騎、たまには息抜きも必要でしょ?中学3年間ずっと命裁師になる訓練をしていたし」 命裁師……短的に言えば反則的な力を持つ人類、みたいな感じだ。 「俺はさぼってたけどな」 隆騎が真顔で。 すると川御は、 「だからあなたはいまだに未熟なんですね!あーあ!」 「いーんだよ、飯さえ食えりゃ!」 世界の貧しい人々には完全NGの発言だ。 しかし川御&隆騎の口戦争なんかもう見慣れている俺は別に驚くことはなく、むしろ、 「行く行く」 積極的な今日の稲森さんに驚きだ。いつも机に突っ伏して寝ているくせに、今日は妙に興味を示している生徒会副会長だ。 「そっか、稲森は花見初めてなんだね♪」 そのとなりに座っているのは不良界の関東王者であり、我が校の生徒会会計である弥栄海留だ。関東王者には似合わない丸っこい髪型が特徴かな。 しかし、登場人物が多い。かつて俺も混乱したものだ。ま、隆騎についてはすぐ覚えた。こいつは話しているとムカつく奴だ。 そして弥栄海留は続けて、 「花見は楽しいよ?酒は飲み放題だし」 サラッと生徒会らしからぬ発言をした。お酒は十八になってからだ、海留。ま、お前なら平気で飲んでいそうだけど。
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