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砂漠は恐ろしい。
歩いても歩いても景色は一向に変わらず、照りつける太陽は自分の体力と水分を確実に奪っていく。
その中を少年は目的地に向かって、一歩ずつ乾いた砂に足跡を残していく。
「暑い…‥」
彼の視界に映るものは小高く積まれた砂と真っ赤に光る太陽。それと、枯れて干からびた草木がぽつぽつと視野に入る。
「もう少ししたら、きっとナチもああなっちゃいますよ」
リキは今にも干からびそうな自分の帽子の上に乗っているポケモンのポポッコに話しかける。
植物に似た体をもっているナチはさぁっと青ざめ、小さな体を震わせた。
「はは…冗談冗談。きっと後少しで町に着く…はず……です…‥」
リキは焼けるような砂漠の暑さに、段々と語尾に自信をなくしていく。
「全く…‥こんな所で焼け死ぬなんて私はごめんですよ」
大きくため息をはき、ガクンと肩を落とす。
すると突然、足元の地面が音をたて、揺れ初めた。
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