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風に揺られて数時間、やっと町に着いたようだ。
リキは体から少しずつ綿毛をはがしていきながら、段々と地面におりた。
「ふう、何だか地上が懐かしいですね…」
リキは久々に地面に足がついたせいか、足元がおぼつかない。
軽く屈伸運動をして町の風景を見渡すと、砂漠の災害に備えているのか、ほとんどの家がレンガ造りだった。
「私の村とは大違いです……」
自分の住んでいた所とは全く違う世界にリキは目を丸くした。
「えーっと、街に着いたらとりあえず連絡するんでしたよね?」
「ポポォ…」
ナチは不満そうに返事をした。
それを見たリキはニヤリと意地悪く笑う。
「へへ、わかってますよ!!優先順位でいくと、まずはこちらからです!」
リキが指さした方向にはフォークとナイフが縦にならんだ看板。
それを見て、ナチは嬉しそうに空中をくるくると回る。
一体どこにそんな元気があるのやら。
リキは軽く苦笑いをした。
砂漠を歩いて水と食料がなくなってから丸一日。
腹が減らない訳がなかった。
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