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耳元で囁かれる。
強く、優しく、安心感をくれる言葉。
そう言ったレイドが、穏やかな笑みを浮かべている事を、クリアリスは知らない。
「レイド…。」
「…やはり、適わない。」
「えっ…。」
「お前にだけは、適わない。」
暫く抱き合って、二人だけの時間を過ごした。
その頃。
ちょうど反対の森の中には、ゼア達が居た。
「ジィノ、話とは何じゃ?」
「…クリアリスにはもう話したんだが。お前達には直接言う必要があると思ったからな。」
深刻そうな表情に、ゼアとフィーも気を引き締める。
「…実は…な。」
ギルダートスが王に殺害されたこと。
そしてそれが原因で、自分が追われていること。
ジィノは隠すことなく話した。
「ギルが…。」
「そんな…っ…。」
涙を目に溜めたフィーの肩を、二人は優しく叩いた。
「…俺は、これから王について色々探ろうと思う。もう…正直、戻る気にはなれねぇんだ。」
「そうか…そうじゃな。我々もやることは似たような事じゃ。」
王に異変が起きたと仮定し、調べている。
戦うことが目的ではない。
「…きっと…姉貴も神官様も気づいてる。けど、止めようとしてねぇ。昔の俺みたいにな。」
「…それは…余も同じ、じゃ…。」
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