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レイドは自分のこと気に食わないと思っているはずと、ジィノ考えていた。
何を言っても断られる。
そうとしか考えていなかった。
「確かにお前がしてきた事を考えれば、断るのは当然だ。だが…。」
レイドは覚えていた。
ジィノがリミルの姉達の命を取らなかった事を。
「ジィノ。」
「なっ、なんだよ!急に名前呼ぶなよな!」
身震いする。
余りにも急だったために対応に困っているようだ。
「…クリアリスが信頼しているお前を、俺も信頼しよう。」
「…な…。」
「何かあれば、直ぐに言え。力になる。」
「な…何だよ…それ…。」
脱力。
ジィノは顔を伏せて肩を落とした。
「何だよ…いい奴すぎる…。」
レイドは火に枝をくべる。
「…もう寝ろ。どうせ、朝早くに出るつもりだろう?」
「…そうさせてもらうかな。また会おうぜ。」
「ああ。」
――翌日。
ジィノはレイドの言葉の通り、早朝に居なくなった。
その時火の番をしていたヨハヤに、食料を渡して。
「行ってしまったのか。」
「はい。皆に宜しくと言っていました。」
満足そうに立ち去ったらしい。
「…クリアリス、俺達も行くぞ。」
「そうだな…先ずは森を抜けてから考えよう。」
友人の無事を祈りながら、一行は森を抜けた。
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