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ゼアとフィーの意見を受け、一行はメゴルーチェの領地に入り、その街に向かうことにした。
「フィー、メゴルーチェには知り合いがいるのか?」
「一人だけ…ですが、私のことを覚えてくださっているかどうか…。」
「知り合い…。」
「ゼア?どうかしたの?」
ゼアの呟きをヨハヤが拾う。
「いや…なんじゃ…。」
「?」
小声になったので耳を近づける。
「フィーが余に仕える前のこと…余り聞いたことがなくてな…。」
「そうなんだ。でも、それは気にすることでもないんじゃ…?」
「…気にする。余には余り自分の事を話さぬのは、余を信頼しておらぬからではないのか?」
真剣に悩み始める。
ヨハヤはかける言葉をよく考えてから話し始めた。
「いや…なんというかその…信頼してないから話さないとかじゃないと思うんだ。」
「では何故じゃ…?」
「機会というか…今までじっくりと話したことなかったからじゃないかな。」
「そ、そう言われると確かに…。」
主従関係も合わさって、互いのことを知り合う機会がなかった。
「寧ろ、フィーはゼアが尋ねてくれるのを待ってるかもしれないよ。」
「うむ…だと良いが…。」
「おっ…街が見えてきたっす!」
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