近づく距離

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ユロの一言で足を止める。 「なかなか大きな街だ…私たちがいきなり訪問して平気だろうか…。」 「フィー、どう思う?」 「…天使に対しての意識というのはそれぞれですので…しかし。」 フードを取る。 「私が先に行って、知り合いに会って、聞いた方がいいかもしれません。」 「頼めるか?」 「勿論です。では…さっそく。」 歩き出したフィーにゼアが続いていく。 「ま、待て!余も行く!良いか、クリアリス!」 「あ、ああ…気を付けて行ってきてくれ。」 急なことで咄嗟に返事をする。 「やけに積極的ねぇ…ヨハヤ、何か言ったの?」 「いえ、特には。」 そう言いつつ笑っているヨハヤに、イリーナは怪訝そうな顔をみせる。 「…私たちは二人が帰ってくるまでは隠れて待機していよう。」 「そうだな。」 ――… 「フィー、待つのじゃ!」 「王子?どうして…。」 「お主一人では危険であろう。余も一緒に行く。」 並んで歩くが。 「…何故段々と後ろに下がっていく…。」 「私は従者ですから。」 フィーは自分から後ろに下がる。 「それはそうじゃが……待てよ。」 何か思いついたらしく、手を叩く。 「王子?」 「良いか、フィー。余は身分を隠す必要がある。」
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