小さな愛

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健は答えなかった。 あんなは「生理痛やから帰るわ」と言って抜け出した。 あんないわく「男の教師は生理痛って言えば言い返してこない」。 スクールバックの大きなストラップを揺らしながら だるそうに河原を歩いていると クラスの男子2人。 「なにしとん?」 「あ?俺等もサボり」 雅也がつまらなそうに答えた。 「わいはサボりやないけん、療養じゃ」 初めて健が口を開いた。 「…暇やし、3人で喋らへん?」 そう言ってあんなは河原に座った。 雅也もしぶしぶ座った。 一方チカも体育を見学していた。 3人とは違い、ちゃんと体育着を着て体育座りをして見学をしていた。 授業は跳び箱で8段、7段、5段と3列に皆が並び、自分の実力にあった段で跳んでいた。 「いいなぁ…」 チカがボソッと一言。 チカは父親からの長年にわたる虐待で激しい運動が出来なくなっていた。 元々体育系の性格ではなかったが、皆と同じことをしたかった。
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